先物取引判例コーナー

判 決 内 容 裁判所名 年 月 日
【過失相殺なし】

昭和34年生,高卒, 補聴器販売会社勤務,先物取引の経験なし。

売直し2回,途転10回,両建20回,不抜け3回。

転がしの基準を特定取引の割合等で判断したリーディングケース。
向い玉も存在を認定し違法としている。
売直し,買直し途転,不抜けの定義判示するなど,画期的な判決。

全取引回数(玉を建て,落として1回)は,35回。

勧誘の際に,断定的判断の提供,
取引単位について誤解する説明,
取引開始後も,断定的判断の提供(建ち落ち併せて1回と数える)のうち,売直し,両建だけで22回,
特定売買比率63%は業者の利益を図る方向で取引が誘導されたことを推認させる。

売買回転率も,全取引期間264日間に35回だから,5日に1回,月平均4回の取引でやや高く,損金1429万円円中,手数料が769万円で手数料化率は53.8%と著しく高率であり,取引内容と,売買回転率,手数料化率を合わせて考慮すれば,いわゆる「転がし」,無意味な反復売買にあたると言うべき因果玉の放置,向い玉の存在を認定し,委託者全体としては損を発生しつつ自己玉が利益を上げていることが推認され,ほぼ恒常的に向い玉をとっていることは,客殺しを推認させる重要な根拠となる。

商品取引員には高度の注意義務があり,本件は重過失がある。

農水省のチェックシステムの対象,性格,数値計算方法がどうであれ,両建等の比率,手数料化率等の持つ意味が損なわれるものではないと判示している。

東京地裁 H4.8.27

最高裁が委託者勝訴の判決で,理由を判示したはじめての判決。

判旨は,

@ 商品先物取引の経験のない被上告人を電話で勧誘し,先物取引の仕組みや危険性について十分説明せず,

A 多くの取引が実質一任売買で,短期間に多数回の反復売買が繰り返され,両建が安易に行われ,

B 被上告人の自主的な意思決定を待たず,実質的にはその意向に反して取引を継続させ,指示通りの取引をせず,資金能力を超えた範囲まで取引を拡大させた,など本件取引に関する一連の行為を不法行為にあたるとし,過失相殺した原審判断は相当である

というもの。

本判決は,下級審で定着していた勧誘から仕切までの一連の行為を一体的にとらえ不法行為とする,一連一体的不法行為構成及びこれに対する過失相殺を是としたものである。

これによって先物取引に関するこれまでの不法行為訴訟が定着したといえる。

最高裁 H7.7.4
【過失相殺5割】

委託者逆転勝訴。

委託者は,勧誘時68歳,商業高校卒業の年金生活者, 先物等の経験はないが,ある程度の資産を有する。

委託者は,先物取引不適格者とは言えないが, 商品取引員は,委託者の職業,年齢,先物取引の知識経験等に応じ,そのものが的確に理解できるよう説明すべき信義則上の義務があるとして, 説明義務違反,断定的判断の提供があったとして,勧誘行為について不法行為を認め,その余は判断するまでもないとした。

東京高裁 H9.12.10